鉄挺かなてこ)” の例文
表からそっと覗いてみると、親方らしい四十ぐらいの男が指図して、三人の職人が熱い鉄挺かなてこから火花を散らしていた。
半七捕物帳:06 半鐘の怪 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
いともの。)といひかけて親仁おやぢ少年せうねんそばへにぢりつて、鉄挺かなてこたやうなこぶしで、脊中せなかをどんとくらはした、白痴ばかはらはだぶりとして、べそをかくやうなくちつきで、にやりとわらふ。
高野聖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
(いいともの。)といいかけて、親仁おやじは少年のそばへにじり寄って、鉄挺かなてこを見たようなこぶしで、背中をどんとくらわした、白痴ばかの腹はだぶりとして、べそをかくような口つきで、にやりと笑う。
高野聖 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)