釈迦堂しゃかどう)” の例文
北嶺ほくれいより入山あって、釈迦堂しゃかどう行在所あんざいしょにあてられ、即刻、みことのりを発せられたうえ、坊舎の上に高々と、錦の御旗をおかかげでおざった
私本太平記:04 帝獄帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
この日まず一発の号砲と同時に兵士が繰出すので、もっとも目貫めぬきとして見るべきは、釈迦堂しゃかどうの西の部で釈迦堂の上には法王の御座がある。
チベット旅行記 (新字新仮名) / 河口慧海(著)
もしや御堂なんぞにと思い、釈迦堂しゃかどう始め二つ三つ探してみたが、無駄であった。小督の消息は依然として知れなかった。仲国は次第に焦々してきた。
それからもう一度清涼寺の門前に出、釈迦堂しゃかどう前の停留所から愛宕あたご電車で嵐山に戻り、三度みたび渡月橋の北詰に来て一と休みした後、タキシーを拾って平安神宮に向った。
細雪:01 上巻 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
天竜寺てんりゅうじの門前を左へ折れれば釈迦堂しゃかどうで右へ曲れば渡月橋とげつきょうである。京は所の名さえ美しい。
虞美人草 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
幸いに私は貴族の家(釈迦堂しゃかどうの前の大家)に知辺しるべがあったものですから、その家の窓から投秘剣会を見ることが出来ました。
チベット旅行記 (新字新仮名) / 河口慧海(著)
紅葉見もみじみの日でございますよ。あなたは殿様のお供で、私は一人で、あの釈迦堂しゃかどうで御一緒になりました」
江戸三国志 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
一乗寺修学院町という文字が何かで目についたし、一乗寺釈迦堂しゃかどう町とかいてある看板も見るのだった。
随筆 宮本武蔵 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
祭典中の僧侶 そこでモンラムの大祈祷会だいきとうえをどこで行うかというと釈迦堂しゃかどうにおいて行う。
チベット旅行記 (新字新仮名) / 河口慧海(著)
今日は真間まま釈迦堂しゃかどうから遍覧亭へんらんていあたりの今さかりと聞く紅葉もみじ見物に出かけた帰りで、例の部屋住へやずみ気分の座興がつのッて、姉君の女駕をさらって、あとの困り方を想像しながら、ひとりきょうがりつつ
江戸三国志 (新字新仮名) / 吉川英治(著)