配所はいしょ)” の例文
何だか狐にでもつままれたような気がする。あの夕立は単に僕達の旅程から菅公かんこう配所はいしょを取りける為めの天意としか思われない。
ぐうたら道中記 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
われら供奉ぐぶの者もできるかぎり軽装をよしとします。なにとぞ、ここからは早や隠岐の配所はいしょぞと、ご観念あそばして、輿におゆだねくださいますよう
私本太平記:05 世の辻の帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
わしの配所はいしょ児島こじまと父の配所の有木ありきの別所とは間近いのです。しかも決してあうことは許されないのです。その欠乏と恥辱との報知だけはしきりに聞こえるけれども。
俊寛 (新字新仮名) / 倉田百三(著)
そして翌年、配所はいしょで死んだ。
道鏡 (新字新仮名) / 坂口安吾(著)
彦右衛門は秀吉の意を帯して、その日、再び槙島の配所はいしょへ赴いた。
新書太閤記:10 第十分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
と、いつもじた。頼朝は十三で配所はいしょの身(流罪)となり、寸土も一兵も持たない身からったのである。——自分は小さくとも足利ノ庄の守護であり、鎌倉では、前執権守時の弟ともいわれている。
私本太平記:03 みなかみ帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)