遺恨うらみ)” の例文
と、言って、白い顔の柔和な眉毛の下を遺恨うらみのあるように、軽く指尖で抑えて見せた。
別れたる妻に送る手紙 (新字新仮名) / 近松秋江(著)
つぼみで散つた昔の遺恨うらみを長き紀念かたみの花吉と云ふ、一生の恋知らずが、養母さん、お蔭様で一匹出来上りましたのサ——ヤレ侯爵の殿様だの、大勲位の御前ごぜんだのと、聞くさへもけがらはしい
火の柱 (新字旧仮名) / 木下尚江(著)
土と木と水——土中に木があって水がある、いや、水があるところに火がある、激しい遺恨うらみが残っている——土中に柘榴のが張渡って、水のあるべきところに水がないとは?——井戸、古井戸!
この点でも充分遺恨うらみを含まれるだけのことはあったろうが、その上に、又七は有名な吝嗇家けちんぼうなばかりか、蓄財のためにはかなり悪辣な手段を執ることをも敢て辞さないと言ったようなところがある
助五郎余罪 (新字新仮名) / 牧逸馬(著)
重四郎成程なるほどわからぬ筈よ此品は少しおれが入用が有て遺恨うらみ
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
遺恨うらみはらさばやと、とき王鬼わうおに
鬼桃太郎 (旧字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
三本を口尻へ含んで遺恨うらみと共に永久とわに噛み締めた糸切歯——どちらかといえば小股の切れ上ったまんざらずぶの堅気でもなさそうなこの女の死顔、はだけた胸に三カ所、右の手に二つの大小の金瘡きんそう
いかにもしてこの遺恨うらみへさ
鬼桃太郎 (旧字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
この遺恨うらみはらさばやと
鬼桃太郎 (新字新仮名) / 尾崎紅葉(著)