“適(む)” の例文
韻文には適(む)かぬから小説を書いてみようと思ふと云ふのが渠の癖で、或時其書かうとして居る小説の結構を竹山に話した事もあつた。
病院の窓 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
その仕事はあなたの性質や傾向には寧ろ適(む)かないものだつたのに、あなたは才能と腕でそれをやり遂げ、子供をよく管理することも、またなつけることも出來たのです。
彼は長い長い腰弁生活に飽き疲れて了った。全くこういうところに縛られていることが相川の気質に適(む)かないのであって、敢(あえ)て、自ら恣(ほしいまま)にするのでは無い、と心を知った同僚は弁護してくれる。
並木 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
「へえ、林檎林が出来るか。だが、この界隈(かいわい)ぢや昔から林檎つてことは聞かないな、俺等(わしら)の地方(はう)にや適(む)かないんぢやないかね。なあにさ、そりや、どうせ旦那衆(だんなしゆう)の道楽だから何だつて構はないやうなもののな。」
新らしき祖先 (新字旧仮名) / 相馬泰三(著)
韻文には適(む)かぬから小説を書いて見ようと思ふと云ふのが渠(かれ)の癖で、或時其書かうとして居る小説の結構を竹山に話した事があつた。
病院の窓 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)