道化どけ)” の例文
庶民に向ったら、どんなにこわい顔のはばを見せるだろうと思いやられる重秀であったが、多分にお道化どけもして見せられる半面の持ち主だった。
梅里先生行状記 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
遠野は故意わざとお道化どけた風に点頭うなづきつゝ棚から口の短いキュラソウの壺を取り下ろした、そしてそれを道助の洋盃グラスぎながら
静物 (新字旧仮名) / 十一谷義三郎(著)
気がむくと、とても奇抜なお道化どけを発明して、私たちを笑わせてくれたものでした。たいへん無邪気なところもありました。
新ハムレット (新字新仮名) / 太宰治(著)
道化どけた顔をはみだして、子供たちの顔を見てゐるやうでした。
小熊秀雄全集-14:童話集 (新字旧仮名) / 小熊秀雄(著)
(さまざまの物真似やお道化どけた踊りで、必死に狂いまわる)
連れだつ 友の お道化どけた 調子も
道化どけ眼鏡めがねを覗くより
泣菫詩抄 (旧字旧仮名) / 薄田泣菫(著)
炭焼や、木樵きこりや、見知らぬ者に会っても、粂之介はすぐお道化どけた。山中なので、怖がってみんな逃げ出してしまう。
旗岡巡査 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
舐子おしやぶりのお道化どけた踊り。
山羊の歌 (新字旧仮名) / 中原中也(著)
「それよ、いつものお道化どけを見せ給え」
私本太平記:02 婆娑羅帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
道化どけてゐるな——
暗い天候 (新字旧仮名) / 中原中也(著)
かえってお道化どけたものになっていた。
源頼朝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)