逡巡もぢ/\)” の例文
しなやうやあきなひおぼえたといつてたのはまだなつころからである。はじめはきまりがわるくて他人たにんしきゐまたぐのを逡巡もぢ/\してた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
慶作は出直さうと思つて、逡巡もぢ/\してゐると、寝鎮まつた筈の家の中から、ぱた/\物をはたく音がして折々何か掛声でもするらしい容子ようすがある。
ある時若い画家ゑかきが女史を訪れて来て、肖像画をかせて呉れと頼んだ。「阿母おつかさん」はぷくぷくした自分のしたぱらあたりを眺めて、逡巡もぢ/\してゐると、若い画家ゑかきはにこ/\しながら一寸愛相あいさうをいつた。