いた)” の例文
「わたくし共は粛然として先生に拝辞した。実に此日の会合は悲壮言語に絶してゐて、今にいたるまで忘れることが出来ない。」
伊沢蘭軒 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
今にいたりて死せず、た父兄今日の累を致す、不幸の罪、何を以てかこれにくわえん。しかれども今日の事は、皇家の存亡に関わり、吾が公の栄辱にかかわる、万々ばんばん休すべからず。
吉田松陰 (新字新仮名) / 徳富蘇峰(著)
しかし善直と京水とが同人ではあるまいか、京水が玄俊の子でなくて、初代瑞仙の子ではあるまいかといううたがいが、今にいたるまでいまだ全くわたくしのかいを去らない。
渋江抽斎 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
その「不脱眼鏡而瞑」は、今日にいたるまで、動すべからざるものとなつてゐる。然るに江木も森田も目撃者では無い。目撃者たる里恵若くは石川若くは牧は、果して何事をも伝へてをらぬか。
伊沢蘭軒 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)