込上こみあ)” の例文
その時はもうまるで夢中で、ただ那奴の憎らしいのが胸一杯に込上こみあげて、這畜生こんちくしようと思ふと、突如いきなり其処そこに在つたお皿を那奴の横面よこつつら叩付たたきつけて遣つた。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
その岸本の言葉を聞くと、節子は何がなしに胸が込上こみあげて来たという風で、しばらく壁の側に顔を押えながら立っていた。
新生 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
微温湯ぬるまゆだから其儘そのまゝゴツクリむと、からぱらへ五六十りやう金子かねもち這入はいつたのでげすからゴロ/\/\と込上こみあげてた。源
黄金餅 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
三「旦那御心配なさいますな、あれじゃアちょいとグーッとちん/\が込上こみあげて来ます、ぽかりとステッキでったんでげすが、本当に素敵すてっきもないことで」
松と藤芸妓の替紋 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)