転倒ころ)” の例文
旧字:轉倒
かっぽれにすべって転倒ころび、手品てずまの太鼓を杯洗で鉄がたたけば、清吉はお房が傍に寝転んで銀釵かんざしにお前そのよに酢ばかり飲んでを稽古する馬鹿騒ぎの中で
五重塔 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
まなこは火のごとく血走りながら、厚い唇は泥のごとくしまりなくゆるんで、ニタニタと笑いながら、足許ふらふらと虚空をにらんで、夜具包み背負しょって、ト転倒ころがる女を踏跨ふんまた
日本橋 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
天井抜けうが根太抜けうが抜けたら此方の御手のものと、飛ぶやら舞ふやら唸るやら、潮来いたこ出島でじまもしほらしからず、甚句にときの声を湧かし、かつぽれに滑つて転倒ころ
五重塔 (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)