みずか)” の例文
しかし『詩鈔』の刊刻せられたものには、枕山みずから千古寸心の四字を書したものが掲載せられているのみで、序も凡例をもつけていない。
下谷叢話 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
ヴィンツェンツォ・マリア師の『東方遊記イル・ヴィアッジオ・オリエンター』に西インドコチン王はみずから重臣輩の見る所で白質黒条の虎を獲るにあらざれば即位するを得ず
尼すなはち陶を作らしめてみずから歌を題して与ふ。けだし尼の製陶を模する者数十名、ために糊口を得るは尼の悦ぶところなり。
蓮月焼 (新字新仮名) / 服部之総(著)
只一人かゝる山の中に居って、みずか自然薯じねんじょを掘って来るとか、あるいきのこるとか、たきゞを採るとか、女ながら随分荒い稼ぎをしてかすかに暮しておるという独身者ひとりものさ、見れば器量もなか/\
菊模様皿山奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
炎暑の日中にもかかわらずわたくしの問うごとに幾度か座を立って過去帳を調べ、またみずからわたくしを墓地に案内してくれた。
下谷叢話 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
すべからみずから事物の実際を観よ、ヴィルヴァ樹一たび落ちて林中獣類むなしと。
枕山みずからも後年『安政文雅人名録』の序をつくる時「余年十九、五山詩仏諸老ノ間ニ周旋シ早ク微名ヲ得タリ。勝会しょうかいアルゴトニ必末班まっぱんニ列ス。」
下谷叢話 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
ちょっと緒に触れば鐘が鳴り出すようにしあって、不正の裁判を受けた者、この緒を動かし鐘を知事の頭上で鳴らすと、知事みずからその冤訴を聴き公平の処分をする。かかる鐘を諸地方皆備えいると。