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蹰躇
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ちうちよ
「
此奴は
先刻僕が飲んだんだから」と云つて、
洋盃を
取り
上げたが、
蹰躇した。代助の
坐つてゐる所から、
水を
棄てやうとすると、障子の
外に
硝子戸が一枚邪魔をしてゐる。
「打ち
明けて
下さらなくつても
可いから、
何故」と云ひ
掛けて、
一寸蹰躇したが、思ひ切つて、「
何故棄てゝ仕舞つたんです」と云ふや否や、又
手帛を
顔に
当てゝ又
泣いた。
「
左様ですね」と
蹰躇したが、「どうせ、
断りに
来るんだから」と云つて
嫂の
顔を
見た。