蹌踉よろけ)” の例文
源内先生は、福介をうしろに従えて土間へ入り、名を告げて案内を乞うと、間もなく奥から蹌踉よろけ出して来た、長崎屋藤十郎。
舟のへりを伝わると、あれ、船首みよしに紅い扱帯しごきが懸る、ふらふらと蹌踉よろけたんです……酷く酔っていましたわね。
浮舟 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
と十手を振上げて打って掛るやつを取ってえぐったから、ヒョロ/\とひょろついて台所のへっついでボッカリ膝を打って、裏口へ蹌踉よろけ出したから、しめたと裏口の戸をしめ
真景累ヶ淵 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
ただおもたるのように、すこ蹌踉よろけるのはるのも気味きみわるくらい
六号室 (新字新仮名) / アントン・チェーホフ(著)
「お有難や、有難や。ああ、苦を忘れてが抜けた。もし、太夫様。」と敷居をまたいで、蹌踉よろけざまに振向いて、「あの、そのお釵に……」——「え。」と紫玉が鸚鵡をる時
伯爵の釵 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
たゞおもたるのやうに、すこ蹌踉よろけるのはるのも氣味きみわるくらゐ
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)