貯蓄ちょちく)” の例文
僕はかつて精力の貯蓄ちょちくなる題のもとに、精神の力も貯蓄すべきことを論じたことがあったが、感情の貯蓄についても同じようなせつをときたい。
自警録 (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)
宮崎君夫婦はもともと一文無いちもんなしで渡道とどうし、関家に奉公中貯蓄ちょちくした四十円を資本とし、ひらけの約束で数年前此原野を開墾かいこんしはじめ、今は十町歩も拓いて居る。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
このうえは大規模だいきぼをもって食料貯蓄ちょちくの方法をとらねばならぬと、富士男は決心した。
少年連盟 (新字新仮名) / 佐藤紅緑(著)
この差の起こる所以ゆえんは、アメリカ人はもっとかねを欲しい、みずか貯蓄ちょちくして後日ごじつ安楽に暮らそうというのである。イギリス人はこんにちの制度ではほとんど家族の顔を見ることも出来ない。
自警録 (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)
六月の下旬げじゅんになると寒暖計はしだいにくだって、零点以下れいてんいか十度ないし十二度のあいだを上下するようになったが、しかし洞内どうないにはまきの貯蓄ちょちくが十分であったから、さまでの苦しみもなかった。
少年連盟 (新字新仮名) / 佐藤紅緑(著)
おおやけの事に奔走すれば野心家とうたがわれ、老後他人の厄介やっかいになるまいと貯蓄ちょちくこころざせば吝嗇奴りんしょくどあなどられ、一挙手きょしゅ、一投足とうそく、何事にしても、吾人ごじんのする事なす事につき非難をさしはさむことのなきものはない。
自警録 (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)