請待しょうだい)” の例文
そこでこの懇親会の輪番幹事の一人たる畑が、秋水を請待しょうだいして、同郷の青年を警醒けいせいしようとしたのだと云うことは、問うことをもちいない。
余興 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
女はひどく驚いて家主の女を呼んで、医者を請待しょうだいする事を頼んだ。家主の女が出て行った、ぐ跡で、男は目をいた。
みれん (新字新仮名) / アルツール・シュニッツレル(著)
その加儀として、去年元服した若い者を請待しょうだいする——招待された客は、おのおのに箱提灯はこぢょうちんを持たせ、髪も異様に結い廻し、すべておかしき形を旨として出立する。
大菩薩峠:29 年魚市の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
……いずれ、その安料理屋へ青麟を請待しょうだいさ。こいつは、あと二人より大分に値が違うそうだからね。その節は、席を改めまして、が、富士見楼どころだろう。お伽堂の亭主の策略さ。
薄紅梅 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
僕が仙珠吟社せんじゅぎんしゃ請待しょうだいせられて行って、君に逢ったというと、社長を始め、是非君に何か書かせてくれろと云う。僕は何とも思わずに受け合った。
ヰタ・セクスアリス (新字新仮名) / 森鴎外(著)
縦令たとい二親ふたおやは寛仮するにしても、女伴じょはんあなどりを受けるに堪えないと云うのである。そこで李はかねて交っていた道士趙錬師ちょうれんし請待しょうだいして、玄機の身の上を託した。
魚玄機 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
同一の人が同一の場所へ請待しょうだいした客でありながら、乗合馬車や渡船の中で落ち合った人と同じで、一人一人の間になんの共通点もない。ここかしこで互に何か言うのは、時候の挨拶位に過ぎない。
百物語 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
そこへ卒業生一同で教授を請待しょうだいした。
ヰタ・セクスアリス (新字新仮名) / 森鴎外(著)