説話はなし)” の例文
免職の事を吹聴ふいちょうしたくも言出すしおがないので、文三は余儀なく聴きたくもないはなしを聞てむなしく時刻を移す内、説話はなしは漸くに清元きよもと長唄ながうたの優劣論に移る。
浮雲 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
成程なるほど、其筆にはいつも一種の神経質があつた。到底蓮太郎は自分を離れて説話はなしをすることの出来ない人であつた。
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
この説話はなしは、私が偶々たまたま彼女の墓のそばで、人から聴かされたのである。
情状酌量 (新字新仮名) / モーリス・ルヴェル(著)
「おらが国」と向の人が言ったら此方こっちも「おら」を「わたくし」の代りに使う。説話はなしは少し余事にわたるが、現代人と交際する時、口語を学ぶことは容易であるが文書の往復になるとすこぶる困難を感じる。
濹東綺譚 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
今文三の説話はなしきいて当惑をしたもその筈の事で。
浮雲 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
説話はなしが些し断絶とぎれる。
浮雲 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)