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視凝
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みつ
ふりがな文庫
“
視凝
(
みつ
)” の例文
私はその人がなにか落し物でも捜しているのだろうかと思いました。首は砂の上を
視凝
(
みつ
)
めているらしく、前に傾いていたのですから。
Kの昇天:或はKの溺死
(新字新仮名)
/
梶井基次郎
(著)
強度の近視眼で、怪しむやうに人を
視凝
(
みつ
)
める癖があつた。縞目も分らないほど古く汚れた背広を着て、脚絆に草鞋をはいてゐた。
禅僧
(新字旧仮名)
/
坂口安吾
(著)
往来の人は口を
噤
(
つぐ
)
んで自分自分の足の端を
視凝
(
みつ
)
めながら、専念に歩く事へ気を奪われて居た。正門と赤門と二つの口から大学生がぼろ/\出て来て其の中へ交った。
The Affair of Two Watches
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
側では
這
(
は
)
い歩きのできる子供が、
拗
(
す
)
ねた顔で母親を
視凝
(
みつ
)
めていた。
永遠のみどり
(新字新仮名)
/
原民喜
(著)
どういふわけだか私は必ず庭の篠笹を思ひだし、さや/\と幽かにゆれる葉陰に透明な幼い笑ひを
視凝
(
みつ
)
めてゐるのであつた。
篠笹の陰の顔
(新字旧仮名)
/
坂口安吾
(著)
▼ もっと見る
雑穀屋が
小豆
(
あずき
)
の屑を盆の上で捜すように、影を揺ってごらんなさい。そしてそれをじーっと
視凝
(
みつ
)
めていると、そのうちに自分の姿がだんだん見えて来るのです。
Kの昇天:或はKの溺死
(新字新仮名)
/
梶井基次郎
(著)
どういうわけだか私は必ず庭の篠笹を思いだし、さやさやと幽かにゆれる葉陰に透明な幼い笑いを
視凝
(
みつ
)
めているのであった。
篠笹の陰の顔
(新字新仮名)
/
坂口安吾
(著)
ところで、月光による自分の影を
視凝
(
みつ
)
めているとそのなかに生物の気配があらわれて来る。
Kの昇天:或はKの溺死
(新字新仮名)
/
梶井基次郎
(著)
驚くほどしつかりしてゐたのは日本人神父セバスチャン木村で、死ぬまでに三時間かゝり、腕を十字に組んだまゝ火を
視凝
(
みつ
)
めて遂に姿勢をくづさなかつた。
イノチガケ:――ヨワン・シローテの殉教――
(新字旧仮名)
/
坂口安吾
(著)
シローテは恨みをこめた顔色で白石を
視凝
(
みつ
)
めてゐたが、人にまことがないほどの恥辱がありませうか。まして私共の教では妄語を戒しめてをりますものを。
イノチガケ:――ヨワン・シローテの殉教――
(新字旧仮名)
/
坂口安吾
(著)
誰がいつたいこんなバタ臭い麗人に変つたのだらう? 卓一は呆れかへつて女の顔を
視凝
(
みつ
)
めつづけた。
吹雪物語:――夢と知性――
(新字旧仮名)
/
坂口安吾
(著)
友達の家に旅装をといて、浴室を出ようとすると、夕陽を浴びた廊下の
角
(
すみ
)
から私の方を
視凝
(
みつ
)
めてゐる女の鋭い視線を見ました。私の好きな可愛らしい魔物の眼でした。
南風譜:――牧野信一へ――
(新字旧仮名)
/
坂口安吾
(著)
それから、村そのものが一つの動揺となつて、居たり立つたり空間の一ヶ所を穴ぼこのやうに
視凝
(
みつ
)
めたり、埋葬のやうにゆるぎだしたり、ぢりぢりと苛立ちはじめたりした。
村のひと騒ぎ
(新字旧仮名)
/
坂口安吾
(著)
偶然弾に当つても、その瞬間まで彼等の心は死に直面し、死を
視凝
(
みつ
)
めてはゐないのだ。
死と鼻唄
(新字旧仮名)
/
坂口安吾
(著)
あの野性のままの女を旅先の気まぐれな
玩具
(
おもちゃ
)
にしないでくれ、と。禅僧は栄養不足でヒョロヒョロやせ、顔色は不健康な土色だった。強度の近視眼で、怪しむように人を
視凝
(
みつ
)
める癖があった。
禅僧
(新字新仮名)
/
坂口安吾
(著)
キラキラと光る眼付で坊主の顔をむしろボンヤリ
視凝
(
みつ
)
めていたそうである。
禅僧
(新字新仮名)
/
坂口安吾
(著)
それっきり固着したように天井を
視凝
(
みつ
)
めている。
小さな部屋
(新字新仮名)
/
坂口安吾
(著)
視
常用漢字
小6
部首:⾒
11画
凝
常用漢字
中学
部首:⼎
16画
“視”で始まる語句
視
視詰
視線
視入
視力
視野
視察
視下
視界
視張