見地けんち)” の例文
理詰りづめで判断はできるが、自分はだいたいの見地けんちよりこの問題を見る力なく、取捨しゅしゃ去就きょしゅうに迷うゆえ、いわゆる先輩の判断をうというならば
自警録 (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)
「成程、あなたの見地けんちは其處にあるんですね。處で、もう家に歸らなくつちや。あなたもですよ。暗くなつて來た。」
今の自分はこの純粋な一本調子に対して、相応の尊敬を払う見地けんちそなえているつもりである。
行人 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
対世界の見地けんちより経綸けいりんを定めたりなど云々うんぬんするも、はたして当人とうにん心事しんじ穿うがち得たるやいなや。
金とかなまりとか酸素とか水銀とか云うが、これを形成している物質は共通であり、唯それに含有がんゆうせられている数が違うために、いろいろ違った物質となっているものだという見地けんちから
科学が臍を曲げた話 (新字新仮名) / 海野十三丘丘十郎(著)
兄の見地けんちに多少譲歩している父も無事に納得した。
行人 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)