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見凝
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みつ
ふりがな文庫
“
見凝
(
みつ
)” の例文
此少年は今度は其日の線を
見凝
(
みつ
)
め乍ら、先から先へ連なる不安と、其不安の
究極
(
いやはて
)
にある暗く輝かしいものを、涙を溜めて思ひ続けた。
父の死
(新字旧仮名)
/
久米正雄
(著)
くすんだような深い
赭色
(
あかいろ
)
に塗られた盃は、冷たい酒をたたえて、内から、描かれた
金蒔絵
(
きんまきえ
)
の長老姿を浮きあがらせた。人々はそれを
見凝
(
みつ
)
めてそしてあおった。
石狩川
(新字新仮名)
/
本庄陸男
(著)
私は不幸というものを、私自身に就てでなしに、生徒の影の上から先ず
見凝
(
みつ
)
めはじめていたのだ。その不幸とは愛されないということだ。尊重されないということだ。
風と光と二十の私と
(新字新仮名)
/
坂口安吾
(著)
で彼はたゞ遠くから二階の障子を
見凝
(
みつ
)
めてこゝはB街ではない、従つてこれは、遠野が嘘をついたのでない限り彼女の家ではないとそんなことを考へながら暫く其処に立つてゐたのだつた。
静物
(新字旧仮名)
/
十一谷義三郎
(著)
と、じっと半兵衛を
見凝
(
みつ
)
めながら答えた。しかし対手が老人で通らない。又しても聞くのに対して又右衛門は又返事をしながら
鉾子尖
(
きっさき
)
をカチリと半兵衛の太刀先へ当てながらじりじりと追込んでくる。
鍵屋の辻
(新字新仮名)
/
直木三十五
(著)
▼ もっと見る
お喜乃はすり寄つて年配の男の顔を
見凝
(
みつ
)
めた
都会と田園
(新字旧仮名)
/
野口雨情
(著)
八畳の書斎の中央に、一
閑
(
かん
)
張
(
ば
)
りの机を前にして父は端然と坐つてゐた。そして其眼はぢつと前方遠くを
見凝
(
みつ
)
めてゐた。机の上には一冊の和本と、綴ぢた
稿本
(
かうほん
)
とが載せてあつた。
父の死
(新字旧仮名)
/
久米正雄
(著)
僕はね、ともかく芸人だから、命のとことんの所で自分の姿を
見凝
(
みつ
)
め得るような機会には、そのとことんの所で最後の取引をしてみることを要求されているのだ。僕は逃げたいが、逃げられないのだ。
白痴
(新字新仮名)
/
坂口安吾
(著)
「
真実
(
ほんと
)
にどこかおわるいの。」と妻が小声で
訊
(
き
)
く。道助はぢつと
他所
(
よそ
)
を
見凝
(
みつ
)
めて答へない。彼女がそつと夜具に手をかけた。彼はそれをピシリと叩いた。彼女は黙つたまゝ頬を
痙攣
(
けいれん
)
させて出ていつた。
静物
(新字旧仮名)
/
十一谷義三郎
(著)
見
常用漢字
小1
部首:⾒
7画
凝
常用漢字
中学
部首:⼎
16画
“見”で始まる語句
見
見惚
見物
見出
見下
見上
見送
見透
見做
見当