“見凝”の読み方と例文
読み方割合
みつ100.0%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
此少年は今度は其日の線を見凝みつめ乍ら、先から先へ連なる不安と、其不安の究極いやはてにある暗く輝かしいものを、涙を溜めて思ひ続けた。
父の死 (新字旧仮名) / 久米正雄(著)
くすんだような深い赭色あかいろに塗られた盃は、冷たい酒をたたえて、内から、描かれた金蒔絵きんまきえの長老姿を浮きあがらせた。人々はそれを見凝みつめてそしてあおった。
石狩川 (新字新仮名) / 本庄陸男(著)
私は不幸というものを、私自身に就てでなしに、生徒の影の上から先ず見凝みつめはじめていたのだ。その不幸とは愛されないということだ。尊重されないということだ。
風と光と二十の私と (新字新仮名) / 坂口安吾(著)