要垣かなめがき)” の例文
私はそのとき要垣かなめがきの朱い葉を二つ三つ千切ちぎった。その深い茜に近い朱色な葉ッ葉のなかにも、彼女の皮膚の一部を想像することができたからである。
性に眼覚める頃 (新字新仮名) / 室生犀星(著)
要垣かなめがき緑葉みどりばかこまれた墓があるかと思ふと、深い苔蘚こけに封じられた墓が現はれて来た。新しい墓もあれば、古い墓もある。或は五輪塔型、或は多宝塔型、其他いろ/\な型がある。
ある僧の奇蹟 (新字旧仮名) / 田山花袋(著)
田畝を越すと、二間幅の石ころ道、柴垣しばがき樫垣かしがき要垣かなめがき、その絶え間絶え間にガラス障子、冠木門かぶきもん、ガス燈と順序よく並んでいて、庭の松に霜よけのなわのまだ取られずについているのも見える。
少女病 (新字新仮名) / 田山花袋(著)
かしの大樹に連なっている小径こみち——その向こうをだらだらと下った丘陵おかかげの一軒家、毎朝かれはそこから出てくるので、たけの低い要垣かなめがきを周囲に取りまわして、三間くらいと思われる家の構造つくり
少女病 (新字新仮名) / 田山花袋(著)