カラー)” の例文
カラーに真鍮の番号をつけられていたそのとおり、墓標にも第一に目につくように黒々と番号が記されてある。あたりには花も樹もない。
女靴の跡 (新字新仮名) / 宮本百合子(著)
この男の意志を蹂躪じゅうりんし、彼からは全然独立した・意地の悪い存在のように、その濃紺の背広のカラーと短く刈込んだ粗い頭髪との間に蟠踞ばんきょした肉塊——宿主やどぬしの眠っている時でも
狼疾記 (新字新仮名) / 中島敦(著)
余りに大きく、また余りにたくましく光っているので、最初は錯覚かとよく見定めて見たが、確かに、それは大きなこぶに違いなかった。テラテラ光った拳大こぶしだいの肉塊がカラーと耳との間に盛上っている。
狼疾記 (新字新仮名) / 中島敦(著)