かわごろも)” の例文
こんなわけで、狸は支那の代表的料理の主役を勤め、第一その肉は人の肺気を強くし、脾胃を補い、皮はかわごろもを製し、骨は邪気を除くと本草に見えている。
たぬき汁 (新字新仮名) / 佐藤垢石(著)
そう云ってそれを置いて行ったが、衣筥の中から出たものは、立派なてんかわごろもで、昔の人のきしめた香の匂が、今もなつかしくかおっているのであった。
少将滋幹の母 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
見るもいぶせき掘立小舎から弓矢を携えて出入りする、かわごろもを着けた極南の矮小こびと民族か、物凄いいれずみをした南海の獰猛どうもうな土人の姿でも御想像なさるかも知れません。
ウニデス潮流の彼方 (新字新仮名) / 橘外男(著)
あなたの欲しいものは何ですか? 火鼠ひねずみかわごろもですか、蓬莱ほうらいの玉の枝ですか、それともつばめ子安貝こやすがいですか?
二人小町 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
寒い時にはかわごろもを一枚着、暑い時には葛衣かたびらを一枚着、そして、朝と晩には、粥をいっぱいずつ食べて、初めからすこしも物を無駄にはいたしませんが、それでも平生いつも困っております
富貴発跡司志 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
〈野驢は女直じょちょく遼東にづ、驢に似て色ぶち、鬃尾長〉といったはチゲタイで、〈野馬は馬に似て小、今甘州粛州および遼東山中にもまたこれあり、その皮を取りてかわごろもす、その肉を食い
こんなわけで、狸は支那の代表的料理の主役を勤め、第一その肉は人の肺気を強くし、胃を補ひ、皮はかわごろもを製し、骨は邪気を除くと本草に見えてゐる。
たぬき汁 (新字旧仮名) / 佐藤垢石(著)