被遊あそばされ)” の例文
御見上おんみあげ申すも心細く存ぜられ候へば、折角御養生被遊あそばされ、何はきても御身は大切に御厭おんいと被成候なされさふらふやう、くれぐれも念じあげ候。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
そのゝちは格別のこともなく、匇々そう/\に札をお附け被成なされ、急ぎ御夫婦とも蚊帳の内へ御入被遊あそばされ候、尤も夜半に及ぶまでむつまじき御物語の御様子にて、おん仲至極めでたかりし事共也
久しき御病気も御本復被遊あそばされ私方の本懐も之れに過ぎ不申もうさず、健かなる御血色にて、御乗車御出発を御見送り申上候私共にとりても、些か御看護申上候甲斐ありと、御尊父様に対しても
仙人掌の花 (新字新仮名) / 山本禾太郎(著)
『その後御結婚被遊あそばされ御幸福に御暮しの由』
途上の犯人 (新字新仮名) / 浜尾四郎(著)
殿さま美濃入国つつがなくお遂げ被遊あそばされ
新書太閤記:03 第三分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
猶くれぐれも朝夕ちようせきの御自愛御大事に、幾久く御機嫌好ごきげんよう明日を御迎おんむか被遊あそばされ、ますます御繁栄に被為居候ゐらせられさふらふやう、今は世の望も、身の願も、それのみに御座候。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
右の耳にいたし候へと被仰候得者おほせられさふらへばかたじけなくも松雪院様雪の如き御手を以て愚老が右の耳朶みゝたぼをお持ちなされ、暫く首のていをお改め被遊あそばされ、鼻声にて低くお笑ひ被成なされ候、瑞雲院様傍より御覧なされ
これには定て深き仔細しさいも御座候はんと存候へども、玉と成り、かはらと成るも人の一生に候へば、何卒なにとぞ昔の御身に御立返おんたちかへ被遊あそばされ、私の焦れ居りまゐらせ候やうに
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
松雪院様日頃より慈悲深きおん方にていたくおんあはれみ被遊あそばされ、言葉をつくして御執成被下おんとりなしくだされ候処、にはかにから/\とお笑ひなされ、いや/\これは座興なるぞ、それがしいかで罪なき者を害せんやとて