被物かぶりもの)” の例文
鷹その被物かぶりものらるれば、頭を動かし翼をち、願ひといきほひとを示すごとく 三四—三六
神曲:03 天堂 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
私はこの生れの低い頭の被物かぶりものとして自分で用意してあつた縫取も何もない四角な絹布をあなたの處へ持つて下りて、財産も、美しさも、身内もないやうな女にはそれで結構ではないかと
薩摩絣さつまがすりあわせ小倉こくらはかま穿いて、同じ絣の袷羽織を着ている。被物かぶりものは柔かい茶褐ちゃかつの帽子で、足には紺足袋に薩摩下駄を引っ掛けている。当前あたりまえの書生の風俗ではあるが、何から何まで新しい。
青年 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
空車を挽いて、車夫は被物かぶりものなしに駈けるのであった。
婦系図 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
婦人はみちを来つつ被物かぶりものを取りぬ。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)