街樹なみき)” の例文
持主の旅客は、ただ黙々として、俯向うつむいて、街樹なみきに染めた錦葉もみじも見ず、時々、額をたたくかと思うと、両手でじっ頸窪ぼんのくぼおさえる。やがて、中折帽なかおれぼうを取って、ごしゃごしゃと、やや伸びた頭髪かみのけ引掻ひっかく。
革鞄の怪 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
室内は動揺どよむ。嬰児こどもは泣く。汽車はとどろく。街樹なみきは流るる。
革鞄の怪 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
さくら街樹なみきからんだなり、暗夜くらがりこずゑえた。
人魚の祠 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)