蝶子ちょうこ)” の例文
表梯子おもてばしごの方から蝶子ちょうこという三十越したでっぷりした大年増おおどしま拾円じゅうえん紙幣を手にして、「お会計を願います。」と帳場の前へ立ち、壁の鏡にうつる自分の姿を見て半襟はんえりを合せ直しながら
つゆのあとさき (新字新仮名) / 永井荷風(著)
ぐずぐずせずと酒もて来い、蝋燭ろうそくいじってそれが食えるか、鈍痴どじさかなで酒が飲めるか、小兼こかね春吉はるきちふさ蝶子ちょうこ四の五の云わせず掴んで来い、すねの達者な若い衆頼も、我家うちへ行て清、仙、鉄、政
五重塔 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
きまってあとでお辰の愚痴ぐちの相手はむすめ蝶子ちょうこであった。
夫婦善哉 (新字新仮名) / 織田作之助(著)