藏前くらまへ)” の例文
新字:蔵前
大きな金持のところへはいつては、百兩二百兩といふ金をふんだくる。中には鐵砲をかついではいる者もあるといふ風で、深川ふかがは木場きば淺草あさくさ藏前くらまへで、非常に恐れた。
兵馬倥偬の人 (旧字旧仮名) / 塚原渋柿園塚原蓼洲(著)
幕府の米倉は、藏前くらまへ須賀橋から厩橋まで建つづき、大川に添つて、南北三百二十間、東北百三十間面積三萬六千六百餘歩と記されてゐる。八つの渠があつて、船の出入りを便にした。
花火と大川端 (旧字旧仮名) / 長谷川時雨(著)
おもしたとて今更いまさらうなるものぞ、わすれて仕舞しまあきらめて仕舞しまへと思案しあんめながら、去年きよねんぼんにはそろひの浴衣ゆかたをこしらへて二人ふたりしよ藏前くらまへ參詣さんけいしたることなんどおもふともなくむねへうかびて
にごりえ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)