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萋々
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せいせい
ふりがな文庫
“
萋々
(
せいせい
)” の例文
皆大いなる大理石の壇に雑草の
萋々
(
せいせい
)
と茂れるのみ。天壇の外の広場に出ずるに、
忽
(
たちまち
)
一発の銃声あり。何ぞと問えば、死刑なりと言う。
北京日記抄
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
コルトンの死骸の横っていた共同椅子の辺には、青草が知らず顔に
萋々
(
せいせい
)
と伸びている。倫敦は軈て
芳香
(
かおり
)
高い薔薇の咲く頃となった。
P丘の殺人事件
(新字新仮名)
/
松本泰
(著)
南の方の一段低い所には
少許
(
すこしばかり
)
の残雪が
萋々
(
せいせい
)
たる
緑蕪
(
りょくぶ
)
の間に一脈の冬を蔵し、雪消の跡には白山小桜の
紅葩
(
こうは
)
があたりに華やかな色を添えている。
利根川水源地の山々
(新字新仮名)
/
木暮理太郎
(著)
およそ水村の風光初夏の時節に至って最佳なる
所以
(
ゆえん
)
のものは、依々たる楊柳と
萋々
(
せいせい
)
たる
蒹葭
(
けんか
)
とのあるがためであろう。
向嶋
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
晴川
(
せいせん
)
歴々たり漢陽の樹、芳草
萋々
(
せいせい
)
たり
鸚鵡
(
おうむ
)
の洲、対岸には黄鶴楼の
聳
(
そび
)
えるあり、長江をへだてて晴川閣と何事か昔を語り合い、帆影点々といそがしげに江上を往来し
竹青
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
▼ もっと見る
四谷
(
よつや
)
鮫
(
さめ
)
ヶ
橋
(
はし
)
と
赤坂離宮
(
あかさかりきゅう
)
との間に
甲武鉄道
(
こうぶてつどう
)
の線路を
堺
(
さかい
)
にして
荒草
(
こうそう
)
萋々
(
せいせい
)
たる
火避地
(
ひよけち
)
がある。
日和下駄:一名 東京散策記
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
甲州惻は眺望もよく、其上
萋々
(
せいせい
)
とした急斜面の草原に、唐松の大木が三々又五々直立している風情は、美しい者の中に数えぬ訳にはいかぬ。峠の南の直下には俗に一杯水と唱える清水が湧き出ている。
秩父の奥山
(新字新仮名)
/
木暮理太郎
(著)
往時隅田川の沿岸に柳と
蘆
(
あし
)
との多く繁茂していたことは今日の江戸川や中川と異る所がなかった。
啻
(
ただ
)
に河岸のみならず
灌田
(
かんでん
)
のために穿った溝渠の中、または人家の園池にも蒹葭は
萋々
(
せいせい
)
と繁茂していた。
向嶋
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
萋
部首:⾋
11画
々
3画
“萋”で始まる語句
萋斐
萋草