草加そうか)” の例文
もっとも、場所は草加そうかで、少し遠いからわからなかったわけで、あっしが一度見たように思ったのは、満更夢では無かったとわかりましたよ
銭形平次捕物控:239 群盗 (新字新仮名) / 野村胡堂(著)
「木田健一さん。あなたのことはよく知っていますよ。無電局23XSYの技師の草加そうか君から、みんな聞きましたよ。あなたの不運と不幸に心から同情します」
断層顔 (新字新仮名) / 海野十三(著)
そのお内儀さんは、五兵衛さまを捨てて、ほかの男と逃げて、草加そうかの在でなくなったのでございますよ。
巷説享保図絵 (新字新仮名) / 林不忘(著)
それから草加そうかの在の方へ行って、ひと月ばかり隠れていたんですが、江戸者が麦飯を食っちゃあいられませんから、又こっそりと江戸へ帰って来て、お時から幾らかずつの小遣いを強請いたぶって
半七捕物帳:09 春の雪解 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
草加そうかの宿が近くなったところで用人はじぶんの傍を歩いている旅憎に気がついた。それは用人が歩き歩き火打石を打って火を出し、それで煙草を点けて一吸い吸いながらちょとじぶんの右側を見た時であった。
貧乏神物語 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
駅吏あらかじメ亭ヲはらツテ待ツ。すなわチ酒ヲ命ジテ飲ンデ別ル。(児精一郎ハ藩命ヲ以テ東京ニ留学ス)過午草加そうか駅ニ飯ス。越ヶ谷こしがや大沢ヲ粕壁かすかべノ駅ニ投ズ。諸僚佐皆来ツテ起居ヲうかがフ。晩間雲意黯淡あんたんタリ。
下谷叢話 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
「そうですよ、菱屋は欠所けっしょ。江戸構えになった母娘が二人、草加そうかとか千住せんじゅとかにいると聞きましたが——」
江戸から二里で千住せんじゅ。おなじく二里で草加そうか。それからこし粕壁かすかべ幸手さってで、ゆうべは栗橋の泊り。
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
せきといいました。草加そうかの百姓午吉うまきちの子ということで育ち、浅草に引っ越して、もう十年にもなります」
お美代は、出入りのとびかしらの口ききで、草加そうかのほうから来ている女であったが、すっかり江戸の水に洗われて、あくぬけしてきていた。膚の白い、ぽっちゃりした、眼の涼しい娘だった。
巷説享保図絵 (新字新仮名) / 林不忘(著)
江戸から二里で千住せんじゅ、また二里で草加そうか、同じく二里の丁場ちょうばで、越ヶ谷、粕壁かすかべ——。
丹下左膳:03 日光の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)