若冲じゃくちゅう)” の例文
床柱とこばしらけたる払子ほっすの先にはき残るこうの煙りがみ込んで、軸は若冲じゃくちゅう蘆雁ろがんと見える。かりの数は七十三羽、あしもとより数えがたい。
一夜 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
その男はこの間参考品として美術協会に出た若冲じゃくちゅう御物ぎょぶつを大変にうれしがって、その評論をどこかの雑誌に載せるとかいううわさであった。
硝子戸の中 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
とこにかかっている若冲じゃくちゅうの鶴の図が目につく。これは商売柄しょうばいがらだけに、部屋に這入はいった時、すでに逸品いっぴんと認めた。
草枕 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)