芳子よしこ)” の例文
「……真実まったくだよ……まだ驚く話があるんだ。主厨カカンの話だがね、あのS・O・S小僧ってな女だっていうぜ。……おめえ川島芳子よしこッてえ女知らねえか」
難船小僧 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
いかにも押し出しのいい芳子よしこというその女は、小夜子よりも少し若く、中高の美人型の顔で、黒い紋つきの羽織を着て、髪を水々した丸髷まるまげにしていた。
仮装人物 (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
と先輩後輩のことが分って急に懇親こんしんを加えた。松浦夫人は未だ若かった。その妹さんが秀子ひでこさんと芳子よしこさんで、その下に中学生の弟があった。新太郎君と寛一君はこの少年に游泳およぎを教えた。
脱線息子 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
入口のにはくわの鏡台をおいて、束髪そくはつ芳子よしこ(その当時の養女、もと新橋芸者の寿福じゅふく——後に蒲田かまたの映画女優となった川田芳子)が女番頭おんなばんとうに帯をしめてもらって、帰り仕度をしているところであった。
マダム貞奴 (新字新仮名) / 長谷川時雨(著)
安子やすこ清子きよこ、じゃあない。春子はるこ、あらいやだ。芳子よしこ、一寸来ておくれよ」
嫁取婿取 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)