くさ)” の例文
さうしてその紀行文を書いてゐる時の氏は、自由で、快活で、正直で、如何にも青いくさを得た驢馬ろばのやうに、純真無垢な所があつた。
あの頃の自分の事 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
いろいろの花をつないだくさの糸は、湖のまわりを一まわりしてもまだ余るほどで、はては広い野原のくさにかくれて見えなくなっております。
ルルとミミ (新字新仮名) / 夢野久作とだけん(著)
われ爾らに告んソロモンの栄華のきわみの時だにもその装いこの花の一に及ばざりき、神は今日野に在て明日炉に投入れらるるくさをもかくよそわせ給えばまして爾らをやああ信仰うすき者よ
基督信徒のなぐさめ (新字新仮名) / 内村鑑三(著)
鬼灯ほおずきくさの間にふと赤し 非群
古句を観る (新字新仮名) / 柴田宵曲(著)
わかれの酒をくさの葉に
駱駝の瘤にまたがつて (旧字旧仮名) / 三好達治(著)
従つて僕自身の作品よりも寧ろ一時代の土の上にえた何本かのくさの一本である。すると僕自身の自慢にはならない。
直ぐに大勢で紅矢の寝床へかつみましたが、生憎な時は仕方のないもので、このうちのお抱えの医者は、二三日前から遠方の山奥へ薬になるくさや石を採りに行った留守で
白髪小僧 (新字新仮名) / 夢野久作杉山萠円(著)
足から出たのはくさや木に、胴から出たのは虫けらに
白髪小僧 (新字新仮名) / 夢野久作杉山萠円(著)
もとより生きた者とては、くさ一本も生えて無い。
白髪小僧 (新字新仮名) / 夢野久作杉山萠円(著)