臨幸りんこう)” の例文
「思いますに、上がり場の板を、踏めば落ちるような造作ぞうさにしておき、主上臨幸りんこうのせつ、おとしいれたてまつらんとの、恐ろしいたくらみではないかと私には見られまする」
天皇てんのうは学校に臨幸りんこうあらせられた。予定のごとく若崎の芸術をご覧あった。最後に至って若崎の鵞鳥は桶の水の中から現われた。残念にも雄の鵞鳥の頸は熔金のまわりが悪くてれていた。
鵞鳥 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
だから当然、みかどの臨幸りんこうを約していた北山の西園寺家では、御車みくるま迎えの清掃にチリもとめぬ用意をととのえ、やがて夏の陽あしもひぐらしの声に涼めきそめる頃ともなれば
それは一週間ばかり後に天子様が学校へご臨幸りんこう下さる、その折に主人が御前ごぜんで製作をしてごらんに入れるよう、そしてその製品をただちに、学校から献納けんのうし、お持帰りいただくということだったのが
鵞鳥 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
「まずは三千の衆徒、臨幸りんこううとんじたてまつるなどの者は、一人もあるまじきにて候う。一山同心、ふた心はあらじと、ご叡慮を安んぜられて、しかるびょう存じあげまする」
私本太平記:10 風花帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)