はら)” の例文
四月につてにはかに雪が降つた程寒い変調な朝があつた。僕はそれから喉をはらして発𤍠して居たのを押してアンデパンダンの絵の展覧会を観に行つたりなんかした。
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛与謝野晶子(著)
年の上の方も、まだ二十を越していないだろう。その美しい眼を心持泣きはらして、雪のような喪服をまとうて、うつむきがちに、しおたれて歩む姉妹の姿は、悲しくもまた美しかった。
真珠夫人 (新字新仮名) / 菊池寛(著)
額、座蒲団、花瓶はなかめ、書棚、火鉢、机と一順二階のしなおさへ終ると、執達吏と債権者は下へ降りた。保雄もいて降りたが、美奈子は末の娘のを抱いて火鉢の前に目を泣きはらして座つて居た。
執達吏 (新字旧仮名) / 与謝野寛(著)