うなづ)” の例文
平次が妾のお源の神妙らしく取繕とりつくろつた顏をかへりみると、お源は少しあわてて、大きくうなづきました。平次の推理には一點の隙もありません。
兄は何も言はずにうなづいてゐた。嫂は荷物の散らかつたなかに鍵がないと探してゐた。お葉はそれを障子の影に聞いてゐたのである。
三十三の死 (旧字旧仮名) / 素木しづ(著)
君自身は、僕の前で平気な顔はできんのぢやないか? 信ずるに足る友人として、僕をうなづかせるやうな説明をしてもらひたいんだ
双面神 (新字旧仮名) / 岸田国士(著)
彼は一つうなづくと素早すばやく、西湖せいこを望む窓辺に駈けより、重い花壜かびん※止はっしとなげつけた。ガタリという物音がして、西湖の空のあたりが、二つに裂けて倒れた。
西湖の屍人 (新字新仮名) / 海野十三(著)
これはその後数十年間に、道人の指し示した方角へ変転しつつあるかにうかがはれるが、それだけに、道人の言説は正しかつたと、いまにしてうなづけるのである。
秋艸道人の書について (新字旧仮名) / 吉野秀雄(著)
メァリーは私がこゝろよくなつて階下したに降りて來られるやうになつたのを見て、彼女が感じた喜びを二言三言やさしく靜かに示してくれた。ダイアナは私の手をとつて私にうなづきかけ乍ら云つた。
なぜならば、少しもそれらの運動うんどう宣言せんこく共鳴きようめいを感ずることが出來ませんでしたから。ひそかに自分達じぶんたちの考へはもうふるいのだろうとうなづきました。さうしてその舊さに滿足まんぞくを感じ、光榮くわうえいを感じました。
冬を迎へようとして (旧字旧仮名) / 水野仙子(著)
巡査は、信一郎の云ふ事を、一々うなづいて聴いてゐたが
真珠夫人 (新字旧仮名) / 菊池寛(著)
男優E これはなこと……。御前様ごぜんさまは、大きくおうなづきになります。
職業(教訓劇) (新字旧仮名) / 岸田国士(著)
「えゝ。」お葉は淋しくうなづいたのである。
三十三の死 (旧字旧仮名) / 素木しづ(著)
私はうなづいた。