老酒ラオチュ)” の例文
「お待遠まちどお様。やっとお料理が出来ました。御酒ごしゅは何に致しましょうか。老酒ラオチュ、アブサン、サンパンぐらいに致しましょうか」
超人鬚野博士 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
阿Qは顫える足を踏みしめて桑の樹にじ昇り、畑中はたなかへ飛び下りると、そこは繁りに繁っていたが、老酒ラオチュも饅頭も食べられそうなものは一つもない。
阿Q正伝 (新字新仮名) / 魯迅(著)
藤井ふじいと云う弁護士は、老酒ラオチュさかずきしてから、大仰おおぎょうに一同の顔を見まわした。円卓テエブルのまわりを囲んでいるのは同じ学校の寄宿舎にいた、我々六人の中年者ちゅうねんものである。
一夕話 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
老酒ラオチュを甕の中から汲み出すのを見て、徳利の底に水が残っていやしないか否かを見て、徳利を熱湯の中に入れるところまで見届けて、そこでようやく安心する。
孔乙己 (新字新仮名) / 魯迅(著)
譚は老酒ラオチュに赤らんだ顔に人懐ひとなつこい微笑を浮かべたまま、えびを盛り上げた皿越しに突然僕へ声をかけた。
湖南の扇 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
赤鼻の老拱ろうきょう老酒ラオチュの碗を手に取って、そういいながら顔を隣の方に向けて唇を尖らせた。
明日 (新字新仮名) / 魯迅(著)
彼はさっきから苦笑くしょうをしては、老酒ラオチュばかりひっかけていたのである。
一夕話 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
和田は老酒ラオチュをぐいとやってから、妙に考え深い目つきになった。
一夕話 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
余洵氏は老酒ラオチュを勧めながら、言い憎そうに私の名を呼んだ。
上海游記 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)