美醜びしゅう)” の例文
時には師匠の鶯の方から一定の場所に出張し弟子の鶯共がその周囲に集まりあたかも唱歌の教室のごとき観を呈するもちろん箇々ここの鶯によって素質の優劣ゆうれつ声の美醜びしゅうがあり
春琴抄 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
ぼくは周囲の女性達をみるなり、坂本さんが、ぼくにまかして、立ち去ったのが、すぐ諒解りょうかいできました。美醜びしゅうはとわず、とにかく、その頃の言葉で、心臓の強いお嬢さん達でした。
オリンポスの果実 (新字新仮名) / 田中英光(著)
鮎は容姿端麗ようしたんれいなさかなだ。それでも産地によって、多少の美醜びしゅうがないでもない。
鮎の食い方 (新字新仮名) / 北大路魯山人(著)
それと同じく人の容貌ようぼうを評するにも、よく十人なみという言葉を使う。これはすなわち美醜びしゅうの一人前という意味であるが、美醜の割り出しなどは、眼鼻めはな顔形かおかたちの寸法をはかって出来得るものでない。
自警録 (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)