ひも)” の例文
この高い冠り物には無論ひもが付けてあつて、それを顎下でしつかり括り付けます。蒙古の女は馬に乘ります。小さい時分から馬乘りの稽古をします。
元時代の蒙古人 (旧字旧仮名) / 桑原隲蔵(著)
仰せのごとく額をかくすかんむりの、黒い色が著るしく目についたのは今先の事であったに、ふと見ると、ひもか飾か、紋切形に左右に流す幅広の絹さえ、ぼんやりと近づくよいを迎えて
虞美人草 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
数万の群集を足許あしもとに低き波のごとく見下みおろしつつ、昨日きのう通った坂にさえ蟻の伝うに似て押覆おしかえ人数にんずを望みつつ、おもむろに雪のあぎとに結んだ紫のひもを解いて、結目むすびめを胸に、烏帽子を背に掛けた。
伯爵の釵 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
ほどを計つて、紫玉は始め、実は法壇に立つて、数万の群集を足許あしもとに低き波の如く見下みおろしつゝ、昨日きのう通つた坂にさへありの伝ふに似て押覆おしかえ人数にんずを望みつゝ、おもむろに雪のあぎとに結んだむらさきひもいて
伯爵の釵 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
「姫神様がの、お冠のひもが解けた、と御意じゃよ。」
神鷺之巻 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)