繩目なわめ)” の例文
新字:縄目
が、いくら身悶みもだえをしても、體中からだぢうにかかつた繩目なわめは、一そうひしひしとるだけです。わたしはおもはずをつとそばへ、まろぶやうにはしりました。いえ、はしらうとしたのです。
藪の中 (旧字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
上野駅での出来事を思起おもいおこした刹那せつな猿轡さるぐつわと手足の繩目なわめを幻想したが、どうして、繩目どころか、全く自由な身体で、彼はその長椅子のクッションに深々と横わっていたのである。
魔術師 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)