経世けいせい)” の例文
まったく政略経世けいせいの武将と観られる徳川家康すら、その若年にも中年にも、個人的修行のひとつとして、剣は学んでいた。
剣の四君子:05 小野忠明 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
誠に無慙むざんなる次第しだいなれども、おのずから経世けいせい一法いっぽうとしてしのんでこれを断行だんこうすることなるべし。
瘠我慢の説:02 瘠我慢の説 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
しこうしてその利益はすなわち木村軍艦奉行ぐんかんぶぎょう知遇ちぐうたまものにして、ついわするべからざるところのものなり。芥舟先生は少小より文思ぶんしみ、また経世けいせいしきあり。常に筆硯ひっけんを友としておいの到るを知らず。
「一能に達した者は万芸に達しるという言葉もあろう。武はわざでなく、心胆しんたんのものだ。心胆を深く養えば、世間を観る眼、人間をる眼、学問の道、経世けいせいの道、すべてに通じ得るものだ」
新書太閤記:01 第一分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「世を治めるの剣。民を愛護し泰平たいへいを招来するの経世けいせいの剣にござります」
剣の四君子:02 柳生石舟斎 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
刑罰するも同じである。聖賢の道なくしては、君父の大義なく、経世けいせいあかりもない。従って国法は何によってその本義と尊厳を保ち得るか。聖賢の道を度外した国法は、ただの権力でしかあるまい
新編忠臣蔵 (新字新仮名) / 吉川英治(著)