終末しまい)” の例文
如才じょさいないお政は絶えず笑顔を見せているが、対手あいては甚だ迷惑に感じた。と云って、ここで何時いつまで争っても究竟つまり水掛論みずかけろんである。市郎も終末しまいには黙ってしまった。
飛騨の怪談 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
新聞を見ても少し長い記事になると、もう五六行讀んだ許りで、終末しまいまで讀み通すのがもどかしくなつて、大字だいじ標題みだしだけを急がしくあさつた。續き物の小説などは猶更讀む氣がしなかつた。
不穏 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
「え? 銭形の親分さんでございましたか。これはいい方に助けて頂きました。こうなればもう、嫌だとおっしゃっても申し上げずにはおられません。どうか、終末しまいまでみんなお聞きなすって下さいまし」
駐在所でも終末しまいには持余もてあまして、彼等が悪事を働かないかぎりは、そのままに捨てて置くらしい。
飛騨の怪談 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)