素頭すあたま)” の例文
願哲 まさか笠をかぶつて井戸がへにも出られず、この素頭すあたまをじり/\と照りつけられては、眼がくらみさうになる。
権三と助十 (旧字旧仮名) / 岡本綺堂(著)
春日長次郎は、五十恰好の禿げた素頭すあたまの血色のよいかおをして、例の和服とも、支那服ともつかない縫取りのある広袖の半纏はんてんに、大口のようなズボンを穿いて、舞台に現われ
大菩薩峠:22 白骨の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
千鈞せんきんの重さで、すくんだ頸首くび獅噛しがみついて離れようとしません、世間様へお附合ばかり少々櫛目を入れましたこの素頭すあたま捻向ねじむけて見ました処が、何と拍子ぬけにも何にも
遺稿:02 遺稿 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
素頭すあたまにただ鉢巻したのや、鉢金と脛当すねあてだけで、胴も着けてない男や、草鞋わらじなしの足に、ただ縄を巻いて、長巻一ツを持って躍り出るのやら、とにかく雑多な武装をした者どもが
私本太平記:05 世の辻の帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)