紅花べにばな)” の例文
紅花べにばななへや、おしろいのなへ——とくちうするにおよぶまい、苗賣なへうりこゑだけは、くさはながそのまゝでうたになること、なみつゞみまつ調しらべにあひひとしい。
木菟俗見 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
いわんや山に山藍やまあいあり、野に福木ふくぎあり、丘に「てかち」あり、求めれば紅花べにばなも庭に咲かしめることが出来るのです。要すべき染料は自然が人々のために充分に備えているのです。
民芸四十年 (新字新仮名) / 柳宗悦(著)
それらの無数な生命の一個が死ぬまでの価としては、稲何百そくとか、ぜに何貫文なんがんもんとか、都の栄華のなかに住む女性たちが、一匹の白絹を、紅花べにばなで染めるきぬの染代にも足らない値段だった。
平の将門 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
山形の産物としては「節織ふしおり」も名がありましたが、それよりも「紅花べにばな」の産地として特に聞え、一時は盛なあきないでありました。紅花というのはもとより植物で、これから紅色をした色料をとります。
手仕事の日本 (新字新仮名) / 柳宗悦(著)
紅花べにばななへや、おしろいのなへ——
木菟俗見 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)