糸筋いとすじ)” の例文
その損を気づかぬ故に後悔せず、悔いてもせんがないからそっとしておくと、その糸筋いとすじの長いはしは、すなわち目前の現実であって、やっぱり我々の身にまつわって来る。
木綿以前の事 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
で、やがて娘はみち——路といっても人の足のむ分だけを残して両方からは小草おぐさうずめている糸筋いとすじほどの路へ出て、そのせまい路を源三と一緒いっしょに仲好く肩をならべて去った。
雁坂越 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
糸筋いとすじ手繰たぐってひそかに洞穴の口に近づいて立聴たちぎきすると。親子らしい大蛇がひそひそと話をしている。
山の人生 (新字新仮名) / 柳田国男(著)