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符徴
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ふちょう
ふりがな文庫
“
符徴
(
ふちょう
)” の例文
森本の二字はとうから
敬太郎
(
けいたろう
)
の耳に変な響を伝える
媒介
(
なかだち
)
となっていたが、この頃ではそれが一層高じて全然一種の
符徴
(
ふちょう
)
に変化してしまった。
彼岸過迄
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
近頃自我とか自覚とか唱えていくら自分の勝手な真似をしても構わないという
符徴
(
ふちょう
)
に使うようですが、その中にははなはだ怪しいのがたくさんあります。
私の個人主義
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
ただ秋の色の
空
(
くう
)
に動くのを美くしいと観ずるよりほかに能のない私には、彼の言葉が封じ込められた或秘密の
符徴
(
ふちょう
)
として怪しい響を耳に伝えるばかりであった。
硝子戸の中
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
下からはまた二十本も三十本もの手を一度に
挙
(
あ
)
げて、みんな仙太郎さんの方を向きながら、ろんじだのがれんだのという
符徴
(
ふちょう
)
を、
罵
(
のの
)
しるように呼び上げるうちに、
薑
(
しょうが
)
や
茄子
(
なす
)
や
唐
(
とう
)
茄子の
籠
(
かご
)
が
硝子戸の中
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
親父
(
おやじ
)
が額に汗を出した記念だとかあるいは婆さんの
臍繰
(
へそくり
)
だとか中には
因縁付
(
いんねんつ
)
きの悪い金もありましょうけれども、とにかく何らか人のためにした
符徴
(
ふちょう
)
、人のためにしてやったその報酬というものが
道楽と職業
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
▼ もっと見る
前に客待の
御者
(
ぎょしゃ
)
が一人いる。
御者台
(
ぎょしゃだい
)
から、この有様を眺めていたと見えて、自分が帽子から手を離して、姿勢を正すや否や、
人指指
(
ひとさしゆび
)
を
竪
(
たて
)
に立てた。乗らないかと云う
符徴
(
ふちょう
)
である。自分は乗らなかった。
永日小品
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
書見をちょっとやめた松本が、ああ好い頭だね、誰に結って貰ったのと聞くと、宵子は
頸
(
くび
)
を下げたまま、ちいちいと答えた。ちいちいと云うのは、舌の廻らない彼女の千代子を呼ぶ常の
符徴
(
ふちょう
)
であった。
彼岸過迄
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
符
常用漢字
中学
部首:⽵
11画
徴
常用漢字
中学
部首:⼻
14画
“符”で始まる語句
符牒
符
符号
符合
符節
符籙
符水
符號
符丁
符調