竹簾たけすだれ)” の例文
竹簾たけすだれ、竹皮細工、色染竹文庫、くしおうぎ団扇うちわ竹籠たけかごなどの数々。中でも簾は上等の品になると絹を見るようで、技は昔と変りがない。
全羅紀行 (新字新仮名) / 柳宗悦(著)
暑い時は竹簾たけすだれが卸してある。そして為立物師したてものしの家の賑やかな為めに、この家はいつも際立ってひっそりしているように思われた。
(新字新仮名) / 森鴎外(著)
造麻呂、黙ってうなずき、素知そしらぬ顔で竹籠たけかごを編み続ける。なよたけ、竹簾たけすだれを下して、右手奥の部屋に消える。
なよたけ (新字新仮名) / 加藤道夫(著)
それから日本の竹簾たけすだれに女の絵などの書いてある物がやはり入って居る。なお陶器類でも九谷焼——それは店の売物としては出て居らんけれども——、物などが貴族の家に行くとあるです。
チベット旅行記 (新字新仮名) / 河口慧海(著)
加越の境にある石動いするぎでは、「竹簾たけすだれ」を挙げるべきでしょうが、この附近でよく見かける「藤帚ふじぼうき」は全く他の地方にない形を見せます。
手仕事の日本 (新字新仮名) / 柳宗悦(著)
早速なよたけの君にお引合せすることに致しましょうかな?……錦丸にしきまる! では、早速竹簾たけすだれひもを引いて下さい。
なよたけ (新字新仮名) / 加藤道夫(著)
表通はちゅうくらいの横町で、向いの平家の低い窓が生垣の透間すきまから見える。窓には竹簾たけすだれが掛けてある。その中で糸を引いている音がぶうんぶうんとねむたそうに聞えている。
(新字新仮名) / 森鴎外(著)
竹簾たけすだれが上った。その向うになよたけが立っている。田舎娘だが、天使のごとき清楚せいそな美しい少女である。
なよたけ (新字新仮名) / 加藤道夫(著)
戸は開け放して、竹簾たけすだれが垂れてある。お為着しきせの白服を着た給仕の側を通って、自分の机の処へ行く。先きへ出ているものも、まだ為事しごとには掛からずに、扇などを使っている。
あそび (新字新仮名) / 森鴎外(著)