竹棹たけざお)” の例文
又、女の方はヒョロヒョロ長くて、まるで竹棹たけざおのようだ。何という不思議なことであろう。あの山男はあの二人を殺して喰うのか知らん
豚吉とヒョロ子 (新字新仮名) / 夢野久作三鳥山人(著)
猶予ためらいながら、笹ッ葉の竹棹たけざおを、素直まっすぐいた下に、びんのほつれに手を当てて、おくれをいた若い妓の姿は、ねがいの糸を掛けたさまに、七夕らしく美しい。
日本橋 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
四人の一団が「仏教救世軍」と記した高張提灯たかはりちょうちん竹棹たけざおの先にしばりつけたのを担いでやって来て「王法為本おうほういほんの旗の色」とか何とかいった歌を歌いながら、救世軍の讃美歌や
一歩ひとあしひきさま、暗い方に隠れて待った、あの射的店の幽霊を——片目で覗いていた方のである——竹棹たけざおゆわえたなり、ずるりと出すと、ぶらりと下って、青い女が、さばき髪とともに提灯をめた。
怨霊借用 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)