立花りっか)” の例文
「いや道誉の客となるのは苦手にがてだ。闘茶とうちゃか、立花りっか(生け花)か。やれ香道こうどうの、連歌れんがのとくる。まずは兄上おひとりで」
私本太平記:13 黒白帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
立花りっかなどの中何か一つたしなんでいない者はどんなに身分のい者でも官吏には採用しないぞと書いています。
琉球史の趨勢 (新字新仮名) / 伊波普猷(著)
元来は凡て手描てがきでありましたが、近頃は印刷することを始めましたので、ずっと見劣りがします。多くは花模様で、時には立花りっかのように花籠はなかごに活けてある様を見事に描きます。
手仕事の日本 (新字新仮名) / 柳宗悦(著)
色彩のみょう相俟あいまつてゴンクウルは歌麿が立花りっか音曲おんぎょく裁縫化粧行水ぎょうずい等日本の婦女が家居かきょ日常の姿態を描きてこれに一種いふべからざる優美の情とまた躍然たる気魄きはくを添へ得たる事を絶賞したり。
江戸芸術論 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
あんな乱世の中で、茶寄合ちゃよりあい(茶道の原始的な遊び事)から香道こうどう立花りっか(華道の始まり)などの風流を興していた彼。
随筆 私本太平記 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
そんな寄合やら、立花りっか聞香ぶんこう田楽でんがくの会などが、彼の邸では月々何回も開かれているという。……遊び仲間はおなじ放埒ほうらつ仲間を決して悪くはいわぬものだ
私本太平記:13 黒白帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
とこには、きのう草心尼が心をこめた立花りっか置鯉おきごいが飾られ、ふたりの前には、熨斗のし三方、向い鶴の銀箸ぎんばし、それにはまぐりの吸物などが供えられた。次に、媒人のあいさつ。
私本太平記:02 婆娑羅帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
彼が道楽にはじめた立花りっか(生け花)、闘茶とうちゃ(茶道)なども、やがて観世清次どのの舞能ぶのうのごとく、案外、ゆくすえ世の文化に大きな開花を見せるやも知れません。なべて人に役立つものは亡びない。
私本太平記:13 黒白帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)