立在たたずん)” の例文
恨めしそうに跡を目送みおくッて文三は暫らく立在たたずんでいたが、やがて二階へ上ッて来て、まず手探りで洋燈ランプを点じて机辺つくえのほとり蹲踞そんこしてから、さて
浮雲 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
文三また慄然ぶるぶると震えてまた蒼ざめて、口惜くちおしそうに奥の間の方を睨詰にらみつめたまま、暫らくの間釘付くぎづけにッたように立在たたずんでいたが、やがてまた気を取直おして悄々すごすごと出て参ッた。
浮雲 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
暫らく立在たたずんでの談話はなしあわい隔離かけはなれているに四辺あたりが騒がしいのでその言事はく解らないが、なにしても昇は絶えず口角くちもとに微笑を含んで、折節に手真似をしながら何事をか喋々ちょうちょうと饒舌り立てていた。
浮雲 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)